トリップ
夢
・・・リクSide・・・
「は・・・は・・・っ!」
息遣いが荒くなる。暗闇のように暗い沼のような所に溺れていた。白い泡が自分の口から出る。周りから薄笑い声が聞こえた。
自分が始末した殺し屋達や、守り屋に度肝を抜かれた警察たち。
聞いていると心地の悪い声ばかりだ。
泳ぎは得意のはずなのに、ちっとも浮上できず、苛立ちもある。
息苦しい。
周りの笑い声が消えて、俺はどんどん底へと沈んでいく。もう音も聞こえない。苦しさと淋しさだけが残っていた。
痛みも淋しさも、とうの昔、10年前に捨てたはずなのに・・・。
やはり、未練があるようだ。
少しだけ安らかに考えられるようになったと思えば、今度は沈んでいくたびに首をきつく締め付けられているように苦しくなった。
一体、どうなってるんだ。
懸命にもがいていると、どこか聞き覚えのある声がする。