トリップ
天と陸
「誰だよ、誰かいんのか?」
やっぱり気付かれてたか、と分かりきっていた事を考える。
ゆっくりと出てきてやると、2人ともキョトンとした顔になった。おい、青二才がこんな所で何やってんだよ、と言いたそうな顔だ。
「何だよお前。迷ったってんならさっさと帰れ。邪魔なんだよ」
「殺しの会議でも開くのか?」
そう聞いてやると、2人はギクリとして眉を跳ね上げる。
「お前・・・守り屋?」
「・・・ああ」
大きいほうの男の問いに、俺は静かに答える。
「こんなに若いのに殺すことになるなんてな。見逃せばよかったっつうのに・・・」
「何も、殺されに来たわけじゃない。あんた達の話を聞いてたんだ」
ナイフの刃先を向けて、質問する。
「出席番号とか金になるとか・・・あんた達の依頼主はもうこの件について覚えてないんだろ。今更何をする必要がある?」
「聞きたいのか?」
その言葉に、俺は少し迷ってからうなづく。
何となくだが、聞きたくないような気がした。自分を制御できなくなるような内容を口走るのではないかと不安だった。