トリップ
エリカが投げてきたのかと思い後ろを見るが、エリカは向こうの方でノートを探してくれている。
じゃあ・・・どうして上から?
まあいい。そう思ってノートを開いたキャプテンが目にしたのは、とても妙な物であった。
『トリップ』と書かれたそのノートは、既に完成しているはずなのに、物語はおろか、人物紹介さえも自分の名前とエリカの名前とその似顔絵しか書かれていない。
「・・・何てこったい。」
呆れと驚愕の入り混じった声が、キャプテンの口から漏れた。
もうこの調子だと、他も全部白紙だろう。
そう思いつつも希望を託してページを1枚めくると、確かに物語は無かったが、似顔絵の描かれた紙が一枚落ちた。
白黒の絵だったが、その顔の横に名前が書いてある。
キャプテンは丸い目でその名前を読んだ。
「・・・ケイラ・・・」
言葉にしてみたが、何故か何も思い浮かばない。
自分で書いた人物なのに、どうして分からないのだろうかと、キャプテンは首を傾げる。
他にはないかと思いめくってみるが、そのほかは出てこない。
きっと消えてしまったのだろう。