トリップ
そんなことを、かれこれ3時間の間ずうっと悩み続けている。
大体、妄想と言ったら、こんなことくらいしか思い浮かぶものがない。
1、現実にないことを考える。
2、それでボーっとして周りが見えない。
3、他の者は、それを「魂が抜けた」と言っている。
頭の中でその三つを読み上げていた時、私はハッとした。
3の所の「魂が抜けた」と言う所だ。
魂が抜けると言う事は、難しく言えば、この言葉になる。
「ユータイリダツ・・・」
唐突に呟いたためか、片言になってしまった。
まさかと思うが、妙に期待してしまう。
しかし、期待しても確かめ様がない。
―幽体離脱って・・・アレだろ。体からスポンって感じで魂と体が分裂するあれだろ?
「スポンか・・・。スポン・・・スポン・・・」
何となく聞こえがよくて、つい頭の中でも繰り返してしまう。
サ行で始まるものは何で聞こえがいいのだろうか。
10回ほど「スポン」を繰り返し、しまいには幽体離脱の妄想をし始めたその時
――スポンッ
私は目を開いて「あれ?」と首を傾げる。今の音は妄想したものではない。
明らかに〔聞こえた〕ものだ。
そして今気付いたのだが。
―目の前に自分の姿があるんですけど?