トリップ

目の前にいるのは間違いなく私である。

でも何故だ?

疑問に思っている当の私はというと、何故か浮いている。ふと疑問な思って自分の体を見てみた。
体まで半透明だ。
どういうことだと思ったその時、先ほどの絶対的妄想力を思い出す。
私はようやくその正体を理解した。


つまりこれは、意識的な幽体離脱だ!


根拠は少ない。
しかし、可能性は十分にある。
能力と言うのは使ってみないと範囲は分からないものだ。
面白半分で調べる内容をまとめてみる。


①物に触れられるか、もしくはすり抜けるのか?
②自分の声は人に届くのか?
③人に取り憑く事、そして操る事が出来るのか?


さすがに人に見えると言う事は現時点でないだろうが。

では早速実行、と実験に移ろうと思う。
①でロッカーの中に入っていた三列目のバックに触れてみると、すり抜けた。
自分の意志で触れると思ったのだが、どうしてもすり抜けてしまう。そこまで都合は良くないみたいだ。
次に②、こういう場合では、話しかけても一番騒がなさそうなジュマに声をかけてみることにした。

「おーい、ジュマー・・・。草食系、ムッツリ」

何度も呼んでみるが、彼は何も聞こえていない様で、熱心に勉強を進めていた。

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