トリップ

最後の③を試そうと、自分の前にいる短髪の女子生徒をターゲットにした。彼女の体にゆっくりと霊体を寄せてみると、次に瞬きした時には視界が変わってる。
流行のマスコットキャラクターの付いた筆箱に、整えられたノートがあり、きっと頭がいいのだろう、と思わされた。

後ろを見てみると、魂の抜けたように(抜けているが)ボーっとしている自分がいた。
見事成功のようだ。いや、これは成功と言うほどいい事なのだろうか。そしてもう1つ気になることがある。

・・・しかし、どうやって戻ろう?

さっきのようにすれば戻れるのだろうか?
少しの不安を持ちながら先ほどの「スポン」と言う音を繰り返してみると、また同じ音がして、体に戻った。

なるほど、同じ方法でも戻れるのか、と私は「案外単純だ」と思う。

ここで分かった事をまとめてみた。

①物には触れられないが、すり抜けられる。
②自分の声は人には届かない。(相手が霊能者でなければ)
③人の意識を操る事が可能。

物に触れられないというのは妙な感じだが、悩みの種が一つ減ったような気がする。

取り合いず自分の体の中に戻り、そのあとも授業を1時間ほったらかして幽体離脱で遊んでいたため、後にジュマにノートを見せてもらうはめになった。

それにしても、何に使う必要があって私は自分の体にこの能力を設定したのだろうか?

何のためにこの能力が付いたのか分からないまま、キャプテンは済ましておく。





< 36 / 418 >

この作品をシェア

pagetop