トリップ
シメの言葉
目が覚めたような感覚に陥る。眠さの不快感があった。
キャプテンが寝ているのは布団の上、近くの窓から見える景色は、雄大な水田と、小さな建物くらいだ。小雨も降っている。
帰ってきた、それは部屋の様子と景色で分かる事であった。隣には、エリカも眠っている。
「あ・・・え・・・?」
一度混乱しそうになる自分自身を、キャプテンはなだめる。
混乱の原因は突然ここに戻ってきた事、それと、途端に【記憶】が全て戻ってきた事だ。キャプテンは【記憶】を整理する。
トリップの前の日、エリカと2人で自分の家で泊まり会をして眠った時、大きな落雷がすぐ隣の大き目の駐車場に落ちたのが、朝方の5月5日、5時55分、つまり、今日の朝方、自分が目覚めて、時計を見た瞬間だった。
『天災』
『白い服で同じ数の月日時間』
トリップの条件を満たしていたことが分かったと同時に、次の【記憶】を蘇らせた。
自分の枕元にあったのは人物紹介用の紙。
説明は勿論、メインとなるケイラ、シュンリ、ジュマ、リクの4人と、名前の決まらない2人の人物。
特にその中の1人は「トリップの記憶をなくす」とあった。
たぶん、その人物がキャプテンとエリカを示しているのだろう。
トリップした時に、キャプテンの「それ」に関する記憶、前日の事を覚えていないのは、そういう【設定】だったからだ。
しかし、物語の記憶がないところに関しては【設定】とは別の所にあった。