トリップ
殺し合い
「危険種だとー!?」
「いちいち変な声出すな。」
慌てふためいているキャプテンをなだめるようにケイラが言う。
「そいつは普通のオオトカゲと違って、成長するとワニぐらいまでなって、気性も荒くなるらしい。だから密輸も許されないし、それを狙ってる奴らは、シャケを殺してどっかに剥製にして売りつけるんじゃねぇの?」
「はっ・・・」
剥製・・・と呟きそうになりながらシャケを見る。
「で、持ち主はそれを知ってあらかじめそこに知らせておいて、そうすれば自分だけは助かるんじゃねぇかって思ったんだろーな。」
それを聞いて、キャプテンは不意に中学生の時に見た保健所で犬が殺されるというニュースが蘇る。何となく似ていた。
どうしてだと怒りに任せたように親に聞いたときは、いつも「仕方ない」と強制的に言い聞かされていた。
しかし、キャプテンはそれについては全く納得がいっていなかった。
急に苛々しだして、早歩きした。
「急に早歩きかよ。」
ケイラもつられて歩き出す。
5分ほど歩いて、動物園と今自分たちのいる間に廃墟と化した工場があった。
「さびとるな・・・。」
「どうする?ここ突き抜けりゃ近道だぜ?」
「・・・嫌や。やめとく・・・」
そう言いかけたとき、シャケがキャプテンの腕を離れ、工場に入っていった。
「あ!」
キャプテンは急いで後を追った。
「入るんじゃねぇか、結局。」
ケイラも続いて追っていった。