トリップ
ニット帽の女の子
起き上がると、真っ先にカレンダーを見た。
キャプテンは夏休みがもう少しと言う事が分かると、唇の端を歪める。
来週には夏休みが始まるのだから早いものだ。
「あと5分・・・」
そう呟くと、もう一度布団の中に戻る。
休日だから余裕丸出しなのだ。
もう既に8時を過ぎていた所なのだが、疲れているからと自分に言い訳をしてもう一度眠りに就こうと思うが、そろそろ弟達が騒ぎ出す頃だろうし、起きなければならないだろう。
「おはよー」
「よお、起きたんか。」
兄のシンゴはいつも早起きで、朝一番に起きている。
「何作ろうかなー・・・」
昔から両親は朝から晩まで仕事の時が多かったので、キャプテンの兄弟は皆家事に慣れている。
「姉貴ご飯ー」
「俺部活やで早くー」
早くも弟二人が登場。
「ご飯」と言った7歳の少年はヒロム。音楽が得意の末っ子だ。
「部活」といった14歳の少年の方はタダム。野球大好きで頭を丸刈りにしている。キャプテンとは対照的に積極的な性格で、結構目立つ方らしい。
ちなみに兄のシンゴ、18歳だが190センチという超長身。
高校に入るときは制服のサイズなどで苦労していた。
「分かったて。今作る。タダム、ヒロム。洗濯入れといて。」
「「はーい」」