トリップ

キャプテンは目を剥いてその場に立ち尽くした。
シュンリの立っている位置は、よく見ると先ほど銃殺された男の位置に合っている。
彼女の持っているライフルなら確実に打ち抜けるだろう。

「シュンリちゃん・・・人に言えない職業って・・・まさか・・・」

キャプテンはシュンリの職業がてっきり売春なのかと思っていたが、幸いにもキャプテンの妄想は外れていた。
しかし、ある意味もっといけない職業なのかもしれない。

「もしかして、狙撃手(スナイパー)っすか?」
「う・・・」

図星、と言う感じだった。
狙撃手というのは簡単に言えば殺し屋のようなものだ。(いや、本当に殺し屋なのだが。)

「あ・・・えーと・・・」

殺し屋を前に呆然とするのは当たり前だ。
最近の事があって殺し屋には慣れているが、それでもこの状況は変えられない。
シュンリもかなり焦っている。

「キャプテン・・・コレハ・・・」

言葉がガタガタになっている。

(この場合の対応と言えば・・・)

キャプテンに出来ることは、取り合いず見なかったフリをすることだけだった。
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