貴女に捧げる夜
『今日、夜まで誰もいないから遊びに来ない?』



まるで、漫画かドラマの中のようなセリフで、実際に自分が誘われるなんて思ってみなかった僕は、
思わず2つ返事でOKした。



この言葉の意味もわかるし、高校に入って出来た彼女は
可愛いので有名だけど、遊び人としても有名だった。


付き合って、”まだ”1ヶ月。
しかし、彼女にとっては”もう”1ヶ月だったようだ。



付き合ったその日の放課後、
屋上でキスをした。



正確に言うと、”奪われた”という感じ。



僕にとっては人生初のキスだったわけで、
それを彼女は、まるで挨拶するかのように
ごく自然に奪った。



『リョータは、私のものだから、何してもいいよね?』


悪戯っぽく笑った彼女は、すごく可愛くて
その笑顔を見る度に、胸の奥の何かが、静かに騒めいたように感じた。



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