貴女に捧げる夜
『入って』



彼女の家は学校の近くのマンション。



本当に家族はいないようだ。



『おじゃまします』



玄関先で脱いだ靴を揃えてる僕に



『そんなこと、しなくていいよ』



と、つまらなさそうに言い、
手を引っ張った。



然程長くない廊下の突き当たりが彼女の部屋で、僕をそこに通すと



『ジュース持ってくるね』


と、部屋を出ていった。


北国とはいえ、真夏の昼間はクーラーが効いてくるまで部屋は蒸し暑い。



が、そんな暑さは気にもならないくらい
女の子の部屋が初体験の僕には珍しいものがいっぱいで



彼女が戻ってくるまで、部屋中を見回していた。



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