貴女に捧げる夜
『何か、珍しいものでもある?』



よく冷えたコーラを僕に手渡して、彼女が言った。



『女の子の部屋、初めてだから』
『そうなんだ?置いてあるもので違うものなんて、化粧品くらいだよ』



そう興味なさそうに答えると、彼女はコーラを一口飲み、僕の膝に跨がるように乗ってきた。



彼女の整った綺麗な顔立ちが、至近距離まで近づき



自然に目を閉じ…
二人の唇が重なった。



直ぐに唇を離した屋上でのキスとは違い、彼女の舌が僕の唇を割って侵入してくる。



コーラが少し残っていて、口の中で軽く炭酸の弾ける感触がした。



彼女は冷たくて甘い舌を、器用に絡めてくる。
まるで違う生き物のようで、



上手く舌を動かせない僕も必死でそれに応えようと
ぎこちなく舌をくねらせた。



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