貴女に捧げる夜
彼女の黒めがちな瞳が、
静かに瞼を閉じて
それが何を意味しているのか、
鈍感な僕にも理解が出来た。



固く結ばれた唇から、彼女の勇気が伝わる。

小刻みに震える華奢な肩にそっと手を添えた。



北国の3月はまだまだ寒くて
彼女の鼻もほのかに赤く染まっている。




約1年前。
彼女からの告白で、僕らは始まった。



その時もこの場所で、言葉通り、
友達に背中を押されて彼女は、振り絞るような声で



『好きです』



と言った。








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