貴女に捧げる夜
『ちょ…っ!シャワーしてないから、それはやだ!』



彼女の焦った声も届かない。



万が一人が来たら困るから?
いや、脱がせることすら、
もどかしかったからだろう。


僕は下着を脱がさずに、
右手で横にずらした。



ツンと微かなアンモニア臭。
鼻を押し付け、
彼女の匂いを吸い込む。



“入れるだけにしようよっ”



そう言っていた彼女も、
僕の舌が這い始めると、
足の力が抜け、声を押し殺すのに集中するかののように、
静かになった。


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