貴女に捧げる夜
間もなく短い夏休みを迎えようかという頃。



地元の小さな駅で、中学の頃の彼女を見かけた。
シンプルで清楚な白のワンピースを着て、背の高い男と歩いている。

彼女は僕と付き合っていた頃より、すごく大人びていて…



たった数ヶ月で、女性はこんなに変わるものなんだ、と、思わず息を呑んだ。



自然に男の腕に絡められた彼女の細い腕が、二人の関係を物語っている。



あの頃と変わらない笑顔で、僕じゃない誰かに微笑みかける彼女は



本当に…本当に綺麗で、



今も好きだ。と正直思うのだけど、



幸せでよかった。と…
綺麗事なんかじゃなく
心から思っていることも



嘘じゃないんだ。




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