\君と青空/
「先輩、いこっか!!」
くるりと俺のほうを向けば
いつもの顔でにっこり微笑んだ。
歩き始めた俺たち。
…だからなんで。
なんでんな辛そうな顔してんだよ。
なんで無理して笑顔作ってんだよ。
…わかりやすいんだよお前。
でも俺は、何も聞かなかった。
いや、聞けなかった。
もっと辛い顔をさせてしまいそうで。
ただただ黙って
美亜の顔を見ることしか出来なかった。
「…じゃ先輩!…送ってくれてありがとう!」
「あ、お前ん家ココ?」
「そうでございやす」
「だから、ございやすとかってゆうなって」
「だからカッコいいんだって!」
「ほんと、お前馬鹿だよな」
ぷっと笑った俺にたいして
「馬鹿とか後輩にゆうな!」
なんて少し怒ってる美亜を
可愛いと思ってしまった。
それにしてもでけぇ家。
こんな家に住んでるとか
コイツは幸せもんだな。
「じゃ、俺帰るわ」
「先輩!!どうもありがと」
にっこり笑った美亜の頭を
がしがし撫でて
「おう」
そういって、美亜が家に入るのを確認してから
俺も自分の家へと来た道を戻った。