\君と青空/
「ふざけんじゃねぇよ」
「あ゛?」
「てめぇ、親に向かって
んだその口の利き方。
んだよ。人のせいにしてんじゃねぇよ。
万引きしたのも警察沙汰になったのも
お母さんがわりぃわけじゃねぇだろ!!
てめぇ自身の問題だろ。
それをお母さんのせいにすんじゃねぇ」
あれは、美亜なのか?
口調だって全然違う。
あんな顔なんてみたことねぇ。
それになぜか
美亜の迫力に良太がおされてる。
「腹痛めて必死で産んで。
今まで育てられてきたんだろ?
てめぇのことが大切だから、大事だから
てめぇの為に頭下げて謝ったんだろうが!
それを…、それを恥とか…。
ふざけたこといってんじゃねぇよ!!」
そこにいた誰もが美亜を見てた。
龍也なんて目が点だし。
「黙ってきいてればごちゃごちゃと。
女だからって調子こいてんじゃねぇぞ」
やばい。
俺はとっさに美亜のもとへ向かった。
拳を握った良太の目は本気で
美亜に殴りかかろうとしていた。
その一瞬の出来事に俺が間に合うはずもなく…。
美亜の顔に一発パンチがくらった。
「美亜!!」
「美亜ちゃん!!」
男のパンチが思いっきりくらったはずなのに
床に倒れるどころか
ふらつきもしなかった。
「てめぇのパンチってそんなもんかよ。
女ひとり倒せねぇ男が
親に盾ついてひどいことばっかいってんじゃねぇ!!」
そういえば美亜は
静かにその場からいなくなった。
騒然となったその場所。
立ちすくす良太。
声を押し殺してなくお袋さん。
何がなんだかわかってない様子の周りの連中。
俺は美亜の後を追いかけた。