\君と青空/
「美亜、大丈夫??」
「あぁ、大丈夫大丈夫!
超余裕~」
にっこり笑いながらそんな言葉を言う美亜。
でも言葉とは裏腹に
全然大丈夫そうじゃない顔。
その顔を見つめる綾乃と龍也の
心配そうな顔は消えなかった。
「東城!」
背後から声がきこえ、
俺たちはいっせいに声の主へ視線を送る。
そこには、さっきいた先公と
良太の母親が立っていた。
美亜は方向転換させ
先公と良太の母親のほうを向いて
頭を下げた。
「問題起こして、すみませんでした」
いきなりの美亜の行動に
ふたりだけじゃなくて
俺たちまでもビックリした。
「東城さんだっけ?」
「…はい。東城美亜です」
良太の母親の言葉に
少し顔をあげた美亜。
「謝るのはこちらのほうよ。
それからありがとう…」
「えっ?」
「あんなに必死になって
良太に思いをぶつけてくれて。
後、顔ごめんなさい。
女の子なのに、とても申し訳なくて…」
「あ、いえ。…それは大丈夫です。
良太さんがキレるのわかりますから…」
「……」
「あんな口の利き方しちゃって
あたしどうかしてました。
本当にすみませんでした」
もう一度頭を下げた美亜。
それを見つめる俺たち。
「顔をあげて、美亜さん」
その言葉をきけば
ゆっくり顔をあげた美亜。
「あたしとっても感謝してるの。
あなたの言葉があった後、
"お袋のせいにして悪かった"って
謝ってくれたのよ、あの子」
「へっ?」
「あなたのおかげよ」
とても母親らしく
優しく微笑んだ良太の母親。
その横で先生も
軽く笑みを零していた。
「ありがとう」
良太の母親はその言葉を残し
やわらかく微笑んだ後、
教室を後にした。