\君と青空/



「ありがとっ」



「へっ?」



「気にかけてくれて」




やっぱりその顔が1番いいと思う。

優しくやわらかく穏やかに笑うその顔が…。






辛そうなのを隠して
無理して笑うあの顔より。



断然いい。






俺、やっと気づいた。





あの日屋上でみた辛そうな顔で
心が痛んだ理由も。

その時放っておけなかった理由も。

良太の事件のとき
美亜をひとりにしたくなかった理由も。


抱きついてきた美亜を
涙してた美亜を

精一杯守りたいと思った感情。





すべて








"好き"







に繋がった。







そもそもあれだよな。


男が女を守りたい。
そう思うのは


ひとつしかねぇよな。






好き。


その感情しかねぇんだ。








お前が傍で笑ってくれたら
俺はそれで満足なんだ。




だから、辛そうな顔してほしくねぇ。





そんな顔向けてほしくねぇ。





頼ってほしい。
甘えてほしい。






そんな感情が
俺の中にあるなんて






知らなかった。
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