\君と青空/
『…た、助けてくれぇ』
そんなおっさんの声なんか
今のあたしには届かねぇよ。
あたしはポケットに手を突っ込んだまま歩き
おっさんたちのほうへ向かってあるいた。
ふはっ!
「派手にやったな、お前ら」
「リーダーの命令に従っただけですよ」
「馬鹿。んなんじゃねぇよ」
いや。
ぼこれってのもあったけど。
目的はそこじゃねぇ。
「おっさんたちさ~。
だいぶお金持ってんじゃん!」
転がってる財布をとれば
中身を確認しそれを全部引き抜いた。
福沢諭吉が何枚もある。
それをおっさんたちの目の前でヒラヒラさせれば
泣きながら
『返してくれ…』
だってよ。
「いいこと教えてやろうか?」
まるで悪魔のような笑みを浮かべながら
おっさんたちに告げる。
「あたしらみたいに不良チームやってるやつらに
あぁいうこというっていうのは
命懸けんのと一緒だってこと。
よぉく、覚えとけよ」
そう言葉を残せば
一発ずつ蹴りをいれ
「いくぞ」
そう言い、その場から姿を消した。