CHATEAU LATOUR
依存
夜。
その日は確か、
まだ少し肌寒い風の流れる
春の夜だったと思う。
時刻は真夜中の2時。
眠れない私は、何をするでもなくベッドの上でボンヤリとしていた。
カーテンを開け放して窓の外を眺める。
少し目線の高い位置にある、大きな四角い窓からは満月の光が射し込んでいて、私の顔を青白く照らし出している。
私は、白く細い左腕をゆっくりと伸ばして窓を開ける。
その袖から覗く腕には、無数の傷痕。
治りかけていた古傷の痕をなぞるように、真新しい、醜い赤い線が何本も刻んである。
辛い事がある度に自分を傷つけていた。
私は、臆病者だから。
でも凪は、それを否定せず受け入れてくれた。
切りたければ、切ればいいよって。
冷たい風が、血の気の少ない白い頬と肩まで伸びた黒い横髪を撫でる。
外の景色は相変わらず街灯が所々にちらついているだけで、数少ない周りの家も皆、真っ暗。
それとは正反対に遠くの街の方は、夜中だというのに、ビルのネオンライトで明るく照らされていた。
その日は確か、
まだ少し肌寒い風の流れる
春の夜だったと思う。
時刻は真夜中の2時。
眠れない私は、何をするでもなくベッドの上でボンヤリとしていた。
カーテンを開け放して窓の外を眺める。
少し目線の高い位置にある、大きな四角い窓からは満月の光が射し込んでいて、私の顔を青白く照らし出している。
私は、白く細い左腕をゆっくりと伸ばして窓を開ける。
その袖から覗く腕には、無数の傷痕。
治りかけていた古傷の痕をなぞるように、真新しい、醜い赤い線が何本も刻んである。
辛い事がある度に自分を傷つけていた。
私は、臆病者だから。
でも凪は、それを否定せず受け入れてくれた。
切りたければ、切ればいいよって。
冷たい風が、血の気の少ない白い頬と肩まで伸びた黒い横髪を撫でる。
外の景色は相変わらず街灯が所々にちらついているだけで、数少ない周りの家も皆、真っ暗。
それとは正反対に遠くの街の方は、夜中だというのに、ビルのネオンライトで明るく照らされていた。
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