CHATEAU LATOUR
カウンター越しに、キッチンで夕食を作っている凪の横顔が見えた。


凪は、自分で買ったレシピ本を見ながら冷蔵庫の中を漁ったり、色んな調理器具を取り出したりしている。

しばらくその様子を眺めていると、凪の持つ包丁がトントンと軽快な音を立てて野菜を刻み始めた。


(何だか、お母さんみたい)

その心地よいリズムに彩音は、いつの間にか微睡んでいた。




「彩音」


ふわりとした声で凪が名前を呼んだ。


「ん…」


彩音が目を覚ますと、テーブルには二人分の夕食が並んでいた。


「ご飯、出来てるよ」

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