CHATEAU LATOUR
凪が、そっと腕を伸ばしてパチン、と部屋の電気を点ける。


と、床には乾いた血の跡、その近くには刃の折れたカッタ-ナイフが落ちていた。


凪の腕を掴む彩音の左腕を見ると、血が腕から肘の方へ流れたまま乾いていた。


「血が…どうしてもね、見たくなったのよ」


と耳元で囁く彩音の言葉に、ぞくりとする。


「彩…音」


この頃から、彩音は少しずつおかしくなっていった。

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