気付いてよ
今何をするべきかなんて俺の頭じゃさっぱり分からなかった。
好きって気持ちは大きくなってくけど、その抑え方だって分からないくらい俺は初心者みたいだった。
「…きむら、幸村!!」
「!?」
悶々とそんなことを考えていたら、当てられてた。
そーいえば、数学だったっけ?
そんな大声で言わなくても聞こえてるっつーの。
聞こえてなかったけど。
「お前は、珍しく起きてると思えばぼけーっとして。」
「すいません。まぁ、起きてるだけマシってことで。」
と笑いながら返せば、先生は笑顔で言った。
「問題集30ページから10ページ、今日中に提出な。」
はぁ?
おいおい、先生さん、俺の成績知ってるでしょーが。
「いや、先生様、ちょ、」
「待ったなし。分かったら、そのアホ面を元に戻して座る。」
「はい。」
そう答えるしか、俺には選択肢が無かった。