気付いてよ

「あー…。えっと。」

どうしたらいいんだ俺。
でも、あ、そうだ。

「用がないなら帰「勉強教えてくんね?」

帰る、そう言いたかったであろう奏の言葉は無視して、俺は言った。
普通なら好きな子に勉強を教えてもらうなんて格好悪いって言うかもしれない。

でも、俺は奏といられるなら本当に何でも、どんな理由でも良かったんだ。

「えっ?」

「あー…そのさ、俺アホ過ぎて、今日出された課題1問も分かんないんだわ。」

「課題なんて出たんだ。ってゆうか、真面目に課題なんてやるんだ?」

「いや、俺だけです。」

「あははっ。なんだ、バッカみたい!」

あ、笑った。

笑った奏に俺は不覚にも目を奪われて黙ってしまった。

最近は笑った顔なんて全然見られてなくて、思い出されるのは泣き顔ばっかりで。

やっぱり奏には笑っていて欲しいって心底思った。

「どうしたの?」

奏に顔を覗き込まれて俺は我に返った。

「い、いや、なんでもない。」

うわー俺どもってるじゃん。
恥ずかし。
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