気付いてよ

「?まぁ、いいけど。で、教室でいーの?」

どもってしまった自分への自己嫌悪は後回しにした。

「お願いします!」

まさか奏に教えてもらえるなんて思ってなかった俺は浮かれてた。

少し前だったら間違いなく即奏を頼ってた。
けど、今は到底そんなこと出来る雰囲気じゃなかったから、この棚ぼたな状況は運が良かったとしか言い様がないんだと思う。

今日の占い1位だったのかも。
もうなんでもいいか。

「で、この公式をさっき求めた式に代入すれば、」

「…解けた。」

あれから俺は奏の説明をバカみたいに真剣に聞いた。
今の感じとか俺実は素質あったりして?

「やろうと思えば出来るんだから、少しはやってみればいいのに。」

そう言って呆れた顔をする奏。

でも、俺がこんなに一生懸命な動機は不純過ぎて奏には言えない。

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