気付いてよ

職員室での先生の小言の時間を入れたって、多分そこまで時間は経ってないはず。
せいぜい5、6分ってところだろう。

だったらまだ間に合うはずだ。

俺は靴もまともに履かないで校門を飛び出した。

と同時に足も止まった。

目の前にいたのは奏だけじゃなかったから。

奏の隣にいたのは、大倉だった。

なんで、あいつといるんだよ。

じゃないか、付き合ってるなら当たり前か。

「っは…。」

乾いた自嘲気味な笑いが零れた。

俺は勉強を教わったくらいで何を奏に期待していたんだろう。

たったあれだけのことで何を舞い上がっていたんだろう。

ホントいい加減にしろよ俺。
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