気付いてよ
「はい、じゃあ、これから体育館に移動するから、各自トイレなど済ませてから来るように。」
先生の声と同時に生徒たちが立ち上がる。
朋はHRぎりぎりに入って来ていた。
今日ほど霧島という名字に感謝したことは無いかもしれない。
きとゆじゃどうあがいても近くの席にはならない。
「かーなで!トイレ行こー。」
「私も行きたかったー」
少しだけ、見るくらい大丈夫と思って、朋の席の方に目をやった。
のがいけなかった。
なんでか知らないけど、朋がこっちを見ていて、ばっちり目が合ってしまった。
しかも、朋の顔はなんで私がいるんだ、みたいな顔だった。
あ、もしかして遅刻ギリギリだったから、きちんとクラス名簿見てなかったのかな。
気まずくて不自然に目を反らしたけど、バレてないといいな。