アイオライト
時間になった。
王の前に整列し、言葉を頂く。
「この国のために、戦うと決めてくれた事にまず感謝する。この国は…いや、今世界中が敵、味方に別れ至る所で戦をしている。我が国ももうすでに十年、その戦の中にいる。」
王がこちらに視線をやった気がした。
「今、我々が戦っているのは、我が領土であるそこにいるオニキスの故郷を滅ぼしたディアドラ国である。」
ドクン
自分の鼓動がわかる。自分の気持ちが高ぶり、全身の血が一気に心臓に流れ込んだようなそんな気がする。
ディアドラ国。
何の罪もない村を滅ぼした国。
「平和ぼけしていた我が国は、十年の間に兵の質をあげる事に時間を費やしてきたが、それでもまだ力不足なのである。そこで、我が領土におふれをだした。そして皆が、国のために集まってくれた!これから、そなた達は我が国の兵士である!」
オーッ!!
集まった役30名の雄志達は、王の言葉に声をあげる。
「ここにいるのは今、役30名。これから、皆の実力を我に示してほしい。」
どよどよどよ
周りが一気にどよめきムードに変わる。
「私は王である。私が一人一人の能力を把握していなければ、戦の指示などだせる訳がなかろう。どこの部隊に入ってもらうかも決めたい。ここに実はもう対戦表がある。一試合のみだ。今から30分後第一試合から開催する。場所は、兵舎前の広場とする。わかったか?」
はいっ!!
どよめきムードから一転、ビシッと背筋を伸ばし、不満ある者も皆が声を揃えて返事をした。
相変わらず、気の強い王である。有無を言わさない。
「今からさっそくだと。オニキスとは当たりたくねぇなあ。」
解散し、兵舎前広場へ向かう途中で友はボソッて呟いた。
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