--ツミビト--月蝶の舞う夜に

馴れない山道を登り終えると、今までとは違い、厳格のある大きな屋敷に辿り着いた。

屋敷の表札にはしっかりと『六十院』と書いてあった。


椎名がインターホンを押す。落ち着いた音が屋敷内に響く。



そして屋敷の扉が開いた、中からは若い男が出てきた。


『…どちらさま?

不機嫌な男はあからさまに嫌なそうな顔をした。


如月 卯月
『あの…六十院 繁孝さん…じゃなくて村長さんに会いたいんですが…。


『…悪いが、村長は今日、体調が優れない。……また後日お願いしたい。簡単な内容なら伝えるが……。

椎名 純一
『いや、また後日伺います。


二人は軽く挨拶をして屋敷から離れた。それを見送るように男は見ていた。









男は門を閉めると男の後ろに少女がいた。

和服を着た少女は睨むように男を見た。


六十院 椿
『…誰?


『はい、椿お嬢さん。例の外部の奴らで…。

門の鍵を閉めた事を確認すると男は椿の方に体を向けた。



六十院 椿
『…そう、何をしに来たのかしら。


『挨拶…ではないでしょうか?



六十院 椿
『そうだと言いんだけどね…。
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