--ツミビト--月蝶の舞う夜に
…俺は何をやっているんだ?
金髪の男は目が覚めたように自覚を取り戻した。
目の前には中年の男が倒れていた。しかし動く気配もなく、既に息はなかった。
金髪の男
『………な、なんで死んでるんだよ………もしかして…俺が殺したのか…?
倒れる男は村の人でなく、何処かの会社の制服を着ていた。帽子もあり「白ネコ宅急便」と書いてあった。
金髪の男
『違う…違うんだ…俺は人を殺していない!!……俺じゃないんだ!!
周りに男の話を聞いてる人間などいない。ただ、男は自問自答を繰り返しているだけだった。
金髪の男
『違う…違う…違う違うぅ!!!
その時、男は何かの気配に気づいた。いや、気配と言うより生物的な本能が危険を知らせていた。
???
『…「液」の接種だけでは無く、遂に人間に手を出してしまうなんて…。
金髪の男
『ひぃ!!
男は分かっていた。自分のように「掟」を違反した人間の前に必ず現れる者を…
そして、その末路も。
金髪の男
『死神様!!違うんだ!!俺は「掟」を破ったつもりは…。
しかし、男の視界から死神様は消えていた。
金髪の男
『…………え?
自分の意思ではなく、男の視界は急に真上の空の月を見ていた。
首に何か温かい物を感じ、視界はゆっくりと暗くなっていた。