--ツミビト--月蝶の舞う夜に
椎名の前にある頭部だけの死体。
その顔には見覚えがあった。
椎名 純一
『…こいつ…昨日の男…。
椎名が見た男は昨日、二人の前に現れた「封花隊」の男だった。
男の死体の顔は綺麗に化粧してあり、髪も綺麗に整えてあった。
椎名 純一
(まさか…こいつ…「処刑」されたのか…?)
如月 卯月
『椎名さん、聞いてきましたよー。発見時刻は6:30分頃、歩いて出勤中に発見したそうです。
椎名 純一
『ご苦労様。如月、被害者を見てみな
如月 卯月
『被害者ですか?分かりました。
如月は被害者を隠す白い布をめくった。
如月 卯月
『……え!?この人って…。
椎名 純一
『昨日の男だ、まさかこんなことになるとは…。
藤原 学
『おや?お二人は彼を知っているんですか?
藤原が二人の会話を挟むように声をかけてきた。
椎名 純一
『昨日、彼が私達に声をかけてきたんですよ…挨拶でしたが…。
如月 卯月
『…!!、………。
如月は椎名が嘘ついてることに気づいた。男との会話は挨拶程度の話ではないからだ。
藤原 学
『なるほど、なるほど。分かりました。
藤原は急に向きを替えて、土手の上に歩き始めた。
藤原 学
『お二人は現場を自由に調べてください。………私は…ちょっと用件を思い出してね。
そう言うと藤原は歩いて行ってしまった。