--ツミビト--月蝶の舞う夜に


如月 卯月
『あらら…警察官なので不謹慎ですねー椎名さん。

椎名 純一
『……………。


被害者の頭部を調べながら、椎名は何かを考えていた。

如月 卯月
『…椎名さん?

椎名 純一
『……!! あ、ああ…すまない、如月…何か不信感を感じないか?

如月 卯月
『不信感…頭部だけとか化粧してあるとかですか?

椎名 純一
『それもあるが…なんだろう。いつもあることが…無い感じが…。

如月 卯月
『言われてみたら…確かに。


椎名や如月は沢山の事件に関わったことがある。その過程で『頭部だけの死体』も多少はあった。

だが、この事件にはいつもある物が無い…人間はそういう物を反射的に分かってしまう。


如月 卯月
『うーん、体が無いと死亡時刻も分かりませんね。本部、呼びますか?

本部とは警視庁のこと、事件があれば呼べば来てくれる。


椎名 純一
『そうだな…呼んだ方が妥当か。



???
『それは…許さん。

図太く、威圧感がある声が聞こえると村人が逃げるように道をあけた。


声の持ち主は40代後半の和服を着た男、周りには着物の少女がいた。


和服の男
『これ以上、私の村で外部の人間に好き放題されては困るんだ。
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