--ツミビト--月蝶の舞う夜に
如月 卯月
『考古学者?
ポニ-テールが風に靡く、薄い黄色の髪が神秘的に見えた。
天野 雫
『ええ、この村は私の脳を満たすぐらいの素晴らしい謎がある…たまらないねぇ。
クスクスと天野が笑う。そんな不気味に笑う天野を如月は見る。
天野 雫
『そういえば…貴方は誰?村の人間……では無いでしょ?
如月 卯月
『ええ、警視庁の「如月 卯月」と申します。この村で発生した事件を調べているんです。
天野 雫
『事件…? ああ、昨日の「処刑」の話ね。
…知っている。如月はここ1番の好機と感じた。
村人に話を聞けないために「六十院家」「封花隊」などの話は全く聞けなかった。
だが、村人以外の人間なら話を聞ける。黙っている理由は無いからだ。
如月 卯月
『すみません、話を聞きたいんですけど…。
天野 雫
『いいけど、昨日の詳細は知らないわよ。
如月 卯月
『いえ、私が聞きたいのは事件の話ではなく、この村の話です。
そう言うと天野の口は嬉しそうに和らいだ。
自分の好きな話を他人に語るのは楽しいものだ。
天野 雫
『良いわよ、長くなるのは覚悟しなさい〜、まずはこの村の昔話から…。