--ツミビト--月蝶の舞う夜に


天野 雫
『…と、こんな感じ。確かにこの村人は外部の人間の臭いに敏感だけど…それが閻魔大王なのかは謎ね、ふふ。
如月 卯月
『だから…村人は私達との接触を拒み、マスクをしていたのね。


伝説を信じるのは趣味ではない。だが、話のつじつまは合っている。


天野 雫
『ふふふ…確かに閻魔大王とかはにわかに信じがたいですね…でも、実際「華魅村」の異常現象は確認されているのよ。


一陣の風が二人を横切った。



如月 卯月
『え?



天野 雫
『臭いを得て、我慢出来ずに暴走する。この村ではそれを『卯化』と呼び、人を襲った村人を『成虫』通称「蝶」と呼ぶ。



天野は神社の門に近づいた。



天野 雫
『…この神社は暴走した「蝶」の亡きがらを納める神社…呪いに縛られて死んでいった「蝶」は人間では無いの。


門の扉に手を当て、天野は門を開いた。



天野 雫
『呪縛された亡きがら…ははは!!かわいそう…そして、なんて哀れ…あはははは!!!


天野の笑いは神社に響き渡った。
< 40 / 67 >

この作品をシェア

pagetop