--ツミビト--月蝶の舞う夜に
如月 卯月
『生物…輪廻?
天野 雫
『簡単な話、人が人を殺すのが合理的な話なら人間なんてあっという間に全滅、だから「人殺し」は罪なのよ。
如月 卯月
『…でも、それがさっきの話と何が関係あるの?
天野 雫
『つまり生物の世界では大切なのは「来世まで自らの種族が生きる事」、だから生物は様々な方法で種族の繁栄を行う。
天野が神社に飾られる蝶の彫刻を撫でるように触った。
天野 雫
『この村に住む「蝶」は…そんなルールを無視して簡単に仲間を増やせるの。その方法こそが「生物の輪廻」を完全に崩す可能性がある。
如月 卯月
『それって…世界の生態系に異常を満たす…ってこと?
天野 雫
『正解、生殖行動を行わず仲間をたった一つの行動で増やす…本当に簡単に出来るから恐いのよ、ふふ。
聞くのを一瞬、躊躇った。だが、恐いからこそ真実が知りたかった。
如月 卯月
『…そ、それは…どうやって増えるの…?
聞くのを分かっていたかのように天野は頷く。
天野 雫
『気になるわよね…私も同じ気持ちだったか。
一拍開けてこちらに近づき、如月の顔の前まで来た。
如月 卯月
『……………!!
既に近いと言うレベルは無い、顔と顔の間は3センチも距離も無かった。
天野 雫
『答えは…………………か・み・つ・く…の。
天野は如月の首に口を近づいた。