--ツミビト--月蝶の舞う夜に
如月 卯月
『椎名さん?聞いてますかー?
椎名 純一
「あ…!!あぁ…聞いてた。…うん。
全く聞いてなかった…完全に上の空だった。
一そんな俺を如月は不機嫌そうな顔で見ていた。
如月 卯月
「…じゅあ、椎名さん。私が何を言っていましたか?
椎名 純一
「あ…あぁ、特産物だろ?ここは野菜が美味しいよ。
もちろん、適当だ。
如月 卯月
「先輩、目つぶって、歯を食いしばれ…。
椎名 純一
「すみません…もう一度お願いします。
俺が謝ると、勝ち誇ったように如月が窓を開けた。
如月 卯月
「月を見てください。さっきと全然違いますよ。
椎名 純一
「…月?さっき見たが…。
窓を開けて空を見た。先程見た月とは違い、通常の月の白か黄の色では無い、目の前に広がる月は紅い月だった。
椎名 純一
「凄いなぁ…村に近づいたら、こんなに変わるのか。
運転手
「あぁ、この村の特徴なんだけど…村では『紅神月』って呼ばれててね…あれは冥府の扉らしいよ。
如月 卯月
「冥府…って!?地獄?嘘…!へぇー!!
如月は興奮して、子供のように騒いだ。
運転手
『ははは…、迷信じゃないかな?村の人間は詳しいけど……さて、お客様。着きますよ。
『華魅村』に繋ぐ橋に入りかかった。