--ツミビト--月蝶の舞う夜に




少女が噛み付こうとする、その時、血まみれの少女の後ろにまた別の少女がいた。


そして、血まみれの少女が吹き飛んだ。




椎名 純一
「……え?


寸前で椎名を助けたのは黒いレインコートを纏い、白く見えるような薄い紫色の長い髪。そして手には巨大な鎌を持った少女。

見覚えのある彼女は昼間とはまた別に威厳のある顔、そして紅い目を宿していた。


椎名 純一
『…つ、椿さん?


彼を助けたのは「死神様」…「六十院 椿」だった。



六十院 椿
『逃げて!!速く!!

彼女の目線の先には先程の少女がいた。怒りに満ちた顔は椿に敵対心を剥き出しにしていた。


血まみれの少女
『ジャぁ…スルナ!!邪魔するナぁぁぁアアア!!!!


少女は近くに落ちていた木材を手に椿に向かって来た。


六十院 椿
『……私が抑える…だから速く逃げて!!


椿は鎌を構え、突進してくる少女を受ける態勢を取った。



素早さを活かした少女は巨大な鎌の懐に入り、間合いを積めた。

六十院 椿
『…………くっ!!

血まみれの少女
『あッははハハハハ!!



六十院 椿
『…あまり…調子にのるなぁ!!!

渾身を込めて少女を押す、少女はバランスが取れなくなり、後ろによろけた。


すかさず、椿は鎌を構えて少女を切り掛かった。
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