--ツミビト--月蝶の舞う夜に
血まみれの少女
『イギャぁあああ!!!
右肩から腹部にかけて鎌が少女を切り裂いた。
力が抜けたように少女は地面に倒れた。
六十院 椿
『はぁ…はぁ…はぁ。だ…大丈夫ですか?噛まれたりは…。
椿は椎名に駆け寄った。
椎名 純一
『あ…ああ、噛まれたりはしてない。
六十院 椿
『…よかった。
今まで見たこと無いような笑顔を椿は見せた。年頃の少女らしい笑顔だった。
『…………キャハ。
不意に後ろから声が聞こえた。
六十院 椿
『………な!!
椎名 純一
『椿さん…危ない!!
声の主は血まみれの少女。痛々しい傷を持ちながらも再び立ち上がった。
慌てて椿は鎌を持つが既に少女は椿に向かって木材を振り下ろしていた。
六十院 椿
『………………っ!!
ーバン!!!!!
椿は吹き飛んだ、少女は顔を狙ったが反射的に椿は手を伸ばした。
顔は無事だったもの、右手を強打した。手に持っていた鎌は音をたてて地面に落ちた。
椎名 純一
「椿さん!!
六十院 椿
「くぅぅぅ…。
椿は地面に倒れ、苦しんでいる。そんな彼女を笑いながら少女は見ていた。
血まみれの少女
『クハはははァはは!!!!
すると少女は向きを椎名に合わせた。
椿を狙わず、獲物の椎名を狙った。
椎名 純一
『く…くるなぁぁあ!!