--ツミビト--月蝶の舞う夜に
藤原 学
『うん?なんだい?
ようやく火のついた煙草を加えながらこちらを見た。
椎名 純一
『この村に…殺人集団がいると聞いたんですが、何か心当たりはありませんか?
すると、藤原は笑った。
藤原 学
『ははは、警察が根も葉も無い噂を信じてはいけませんよ…。そんな奴らがいたら私ら警察の威信で捕まえますよ。
煙を出しながら、さらに笑った。
藤原 学
『まさか、こんな辺境の村まで来たのは、今の噂を確認するため…なんて言いませんよね?
もちろん、藤原にはここに来た理由は分かっている。加害者であり被害者の『佐々木 葵』の親に事件を話す……そして、事件の真相も調べるためだ。
椎名 純一
『はは、もちろん。
愛想で笑う。口でこそ笑うが藤原は目が泳いだ。
嘘をつく人間は確実に動揺する。分かっていても体に出るのが人間という生物だ。
如月 卯月
「…………チィラ…。
如月は長い髪を弄るそぶりをあからさまにした。
これは俺達だけの知る合図、マーキングの合図である。