--ツミビト--月蝶の舞う夜に
藤原 学
『ほら、こんな場所で明日を迎える前に速く行きましょう。
椎名 純一
『そうですね…。
三人は再び歩き始めた。
しばらくすると街灯があった。土手にあるとは珍しく感じた、現に土手には目の前にある街灯しかない。
如月 卯月
『……待ってください!!街灯の下に誰かいます。
如月の言う通り、街灯の光が当たる場所に誰かが立っていた。
都会でもない限り深夜に外に出る人間は珍しく、怪しく感じた。
しかも、その人間の服装は真っ黒いレインコートを着用し、顔は不気味な模様の仮面でさらに怪しさを増していた。
藤原 学
「あれは…『封花隊』ですよ。村の自治会で構成された…警備員みたいなものです。
不気味な仮面の人間はこちらにゆっくりと近づいて来た。
仮面の人物
『おい…お前、村の掟を背くつもりか?
藤原 学
『お嬢には伝えましたよ、貴方たちや自治会に伝わっているかは知りませんが。
お嬢…?椎名と如月はお互いに顔を合わした。
仮面の男はこちらを見て、すぐに藤原に顔を合わした。
仮面の人物
『……分かった。だが、念のために確認するからな。
藤原 学
『ご自由に、どうぞ。
仮面の男は土手を下り、闇に紛れていった。