制言師は語らない
「では、あなたの名前を言って」

「カーン・ライディ」

「よろしい。では、カーン・ライディよ、あなたは何を望む」

「えーと、明日の剣技大会の対戦相手かな?」

 じっと彼女は僕の顔を見つめて、そして、溜め息をついた。

「あのねぇ、明日の対戦表は貰ってるんでしょう」

「うん、ここに・・・」

「なら必要ないじゃない」

「あ、えーと、対戦する相手の名前はわかってるんだけど、どんな人なのかなって・・・」

 どうも、彼女に正面から見つめられると言葉足らずになってしまう。

「あのねぇ、このあたしを誰だと思ってるのよ」

「フォウはフォウでしょ」

「あたしの名はフォーフールズ・イクスォール。希代の制言師イクスォールの孫なのよ」

「言われなくても知ってるよ」

「知ってるならなおさらよ。あたしは制言師なの。占い師でも、まして、探偵でもないのよ。カーンの頼みだからってわざわざ聞いてあげてるってのに、対戦相手がどんな人なのかですって?そんなの自分で調べなさいよ」

「じゃあ、いったい何を占ってくれるっていうんだい?」

「そうね、やり甲斐がありそうなのは、試合の結果かな」

「それって、当たるの?」
< 2 / 20 >

この作品をシェア

pagetop