制言師は語らない
「当てて見せましょうか」
「当てて見せましょうか」

 フォウのくりくりとしたアーモンドアイが悪戯っぽく光る。

 やばい、彼女は本気だ。本気で当てようとしてる。いや、本当に占いで当てるのだろうか・・・言葉を制する制言師である。真っ当な占いとは思えない。

 もしかして、ぼくってかなり危険なことを頼んだのではなかろうか。

「いやあの、そう言うのはいいよ、知らないほうが実力が出せるし・・・」

「何が実力よ。だいたい、あんたって、剣士になるのが嫌でライディ家を出たんじゃない。それがどうして明日の剣術大会に出るのよ」

 う、それは痛いところを突かれた。

「家を出たといっても、名目上は修行の旅に出たことになってるから・・・」

「なに、あんた、それで本家に言われて出ることになったの?」

「勝手にお爺ちゃんが登録しちゃったんだよ。しかも、出ないと今月の援助は無しだって言ってきて」

「あの爺様なら言いかねないわね・・・ちょっと待って、援助ってあなた家出した家からお金もらって旅してたの!」

「だから家出じゃなくて、武者修行の旅なんだよ」

「武者修行なんて名目でしょ。それを毎月援助してるなんて……だから武門の名家ライディ家に、あんたみたいな甘ちゃんが育っちゃうのよ。剣士のくせに絵描きになりたいなんて、その上先端恐怖症で、まともに戦えないじゃないのよ」


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