SICK&TIRED
お風呂からあがるとあみの部屋に行った
ペディキュア塗りに熱中しているあみはアタシの今日の出来事にさほど興味もないらしく
「へえ~良かったねえ~
あ、はみでちった」
とマイペース
拍子抜けして「おやすみ」と部屋を出ようとしたら呼び止められる
「あ、さきちゃん」
「んー?」
「今度の週末さあ、金曜日の夜からアタシ……
ちょっと泊りがけで小旅行に誘われてるんだけど」
「へえ、どこに?」
「箱根、温泉、いいでしょ」
「いいな~、アタシも行きたい」
と言って、自分の体のアザが温泉どころではないことを思い出した
「いや、そうじゃなくて
その、泊りがけだからお母さんたちにさ…
さきちゃんと行くって言っちゃったんだよね~」
「え?」
「その間、とうまの家にでも雲隠れしててくれない?」
「は?」
「恩人にそれくらいお礼しても構わないと思わない?」
自分のことを自分で「恩人」というあたり、すこぶる図々しいけど
「うん、わかった」
むしろ、是非そうさせて!!とでも言いたくなるくらい彼女に感謝しているのも本音だった