SICK&TIRED
とうまの手はそのまま後頭部をおしつけて、反対の手が背中にまわると更にぎゅっと力を込められる
あれ?
ここどこだっけ?
と一瞬悩むくらい
このままセックスに流れ込みそうなキス
遠くで人の声がきこえて、それが近づいてきそうだったから唇を離した
名残惜しくて、5センチくらい離れたところでお互い止まる
「こんなとこでそんなエロモード全開のキスしないでくんない?」
「アタシじゃないもん」
もう一度キスするかどうかの駆け引き
とうまが少しだけ距離を詰めた
「誰かに見られるかも」
彼が詰めた分アタシがあごを引く
「とうまーーーー」
遠くから呼ぶ声
振り返って声の聞こえるほうを見ると、建物の入り口で春樹くんが大きく手を振っていた
「もう行く時間、残念」
立ち上がったとうまに続いてたちあがると、背の高い彼にあわせるように爪先立ちになって、
両手で顔をはさむと素早くキスをした
「今日、迎えに来てね」
驚いて止まったままのとうまを置いて、アタシはかばんをつかむと庭を突っ切って歩いていった