SICK&TIRED

SICK 5




アタシは毎日図書館へ足を運んでいた

調べてはノートに書き写して、また調べてを繰り返す日々

たまに手を止めると、また加賀見くん来ないかなって不謹慎な思いが生まれて、アタシは自制心を強く持った

もし一緒にいるのがばれたら、何をされるかわからない

電話やメールをしただけでも、目が合って会釈しただけでも殴られるんだもん、図書館で一緒に楽しい時間を過ごしたなんてことが知られたら、想像するだけでも恐ろしい


だから、そう

加賀見くんはここにはもう来ないほうがいい


そうわかっているのに、図書館の扉が開くとそっちを見てしまう自分がねたましかった


持ってきた本すべてに目を通し終わって、それを片付けて新しい本を取りにいく



んーーー、これと、これ



高いところに背表紙がぼろぼろになってセロテープで補強された本を見つけて、背伸びして手を伸ばしたけど、中指がようやく触れる程度にしか届かなくて、

踏み台を取りに行こうと一旦あきらめて振り返ると人にぶつかった



「あ、ごめんなさい」

「いいよ、これ??」



聞き覚えのある声に顔をあげるとアタシより頭一つ分上に加賀見くんの顔が見えた


「加賀見くん」

「はい」


アタシが取ろうとしていた本を容易に取ってくれて

少し首をかしげてアタシの注意を引くと

無言で奥を指差す

前に二人で入った古書の部屋


アタシは少し微笑んでうなずくと自分の荷物を取りに行き、こりもせずに安らぎを求めてその部屋へと入っていった


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