SICK&TIRED



アタシはそっと手を離してちょっと笑った
ようやく自制心が勝って離した手を再びあっけなく握られる


「おさわり料ちょうだい」

「お、お金?!」


握り合っている反対の手でアタシが持ってきたふせんを一枚とペンをアタシに渡してくる

「ケータイの番号とアドレス、書いて」

ペンを受け取って、最初の3桁を書いて止まる


いいけど

かけられると、困る


「あの、教えるのがイヤとかじゃなくって・・・・」


何て言っていいのかわからない


「携帯はあんまり使わないから」


苦しい言い訳


とうまくんはまっすぐな瞳でアタシを見つめているから余計に苦しい


「大丈夫、むやみやたらとかけたりメールしたりしないから」

アタシがはっとしたような表情をすると

「知っておきたいだけ」

と付け加える


アタシは番号とメールアドレスを書いた

安いけど、胸が焼けるようなおさわり料


「触らせてくれてありがとう」


と言って渡す
そして、つながれた手をほどいた


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