SICK&TIRED

そのまぶしい笑顔に完全に目が覚めると、アタシは周囲を見渡した

「さきちゃん・・・・でしたよね?俺の名前わかります??」

そんなアタシの様子にも構わず話しかけてくる

・・・・さきちゃんって・・・・

妹がアタシのことを「さきちゃん」と呼ぶからだろうか、明らかに年下の彼はアタシをあっさりとちゃん付けで呼んだ


「ごめんなさい、あみから聞いてない」

名前だけではない、同じ大学にいるってことすら聞いてない

いや、聞いたのかな?
アタシが覚えていないだけなのかもしれない

「超興味ないって感じっすか」

興味がないっていうわけじゃないけれど・・・・

そう言われると気にしたこともなかったというか・・・・

「ごめんなさい」

「や、謝ることじゃないけどね」

「同じ大学にいるってことも聞いてなくて」

正直にいうと、彼は一瞬眉をひそめたけど、すぐに笑い声に変わった

「あはは、ちょっと傷つくね」

「ごめんなさい」

「いや、だから、謝るほどのことじゃないんで」

爽やかな風が吹き抜けるように話す人だな

大学内でこうやって人と話すのはなんだか久しぶりかも

ふとそんな風に考えていると

「加賀見とうま、1回生、学部が違うから会うこともないけどね」

彼の声に意識を引き戻されて、握手を求めるように右手を差し出された

< 5 / 210 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop