SICK&TIRED
SICK 9
学校が終わると、まことを避けるようにキャンパスの庭のベンチへと向かった
携帯を見つめながら座って待つ
そういえば、何時に終わるとか聞いてなかったな……
どれくらい待てばいいんだろ
かばんから鏡を取り出すと顔を見た
少し化粧は直したからマシな顔はしているけど、頬骨のあたりが少し赤く腫れて熱を持っている
青くなるかな?
いやだな……
鏡をしまうと、今度は図書館で借りていた本を取り出した
待ち合わせ、図書館にすればよかったな
本を読んでいると、だんだんと字が見えにくくなる
夕闇が襲ってくる
風に寒そうな音をたてる木々が何かを語りかけているようで、胸がざわつくのを止められなかった
時間が過ぎるとどんどん肌寒く感じてきて、Gジャンを羽織る
ふと胸元に手をやって気づいた
ネックレスがない!
シャツにあわせてつけたリボンモチーフの小ぶりなネックレス
落としたんだ
いつ
どこで
探しに行こうかな
でもすれ違ったらイヤだし…
近づいてきた足音がきこえて少し顔を横に向けると、慌ててかばんを持って立ち上がった